今回は、テニス上達の3ステップというテーマでお送りします。
昔から、茶道や華道など「道」の世界では、物事を極めていく過程を次の3つのステップで表現しています。
「守」(しゅ)
「破」(は)
「離」(り)
古くは中国から伝わったといわれるこの「守・破・離」について、耳にしたことがある人も多いかもしれません。具体的な解釈については様々あるようですが、おおむね次のようなことだそうです。
「守」・・・師からの教えを忠実に学び、型や作法、知識の基本を習得する第一段階。
「破」・・・経験と鍛錬を重ね、師の教えを土台としながらも、それを打ち破るように自分なりの真意を会得する第二段階。
「離」・・・これまで教わった型や知識にいっさいとらわれることなく、思うがままに至芸の境地に飛躍する第三段階。
文字通り、
「守」・・・型を守る。
「破」・・・型を破る。
「離」・・・型から離れる。
という段階を経て、道は極めていくものだという教えです。
私は趣味で華道(生け花)を習っていますが、始めの1年間は師匠が生ける様子をすべてメモし、その後、それをばらして、自分でまったく同じように生けなおすという作業を延々繰り返していました。まさに「守」ですよね。
さて、ここからが本題です。
この「守・破・離」をテニス上達の過程に当てはめてみるとどうなるでしょう?
いろいろな解釈があると思いますので、ぜひ、みなさん一人一人で考えてみてください。
参考までに、私がいくつか考えたものを例としてあげてみます。
「守」・・・初心者・中級者でコーチからボールを出してもらいながら、基本の型(フォーム)を繰り返し練習する段階。
「破」・・・中上級者、上級者で、ひととおり自分で試合ができるようになる段階。自分なりの得意ショットや勝ちパターンを見つけ、それを武器にしていく段階。
「離」・・・コーチとなり、自分のこれまでの経験を踏まえて、自分なりのテニスを確立し、広く人に教えていく段階。
いかがでしょう?
こう書くと、「うわっ!テニスって結構面倒くさそう!」「道はまだまだ遠い・・・大変そうだな・・・」と落ち込む人もいるかもしれませんが、「道が長い=成長する余地がある!」ということですから、まだまだ楽しめるということです。
また私の考えでは、この「守・破・離」は、先述したように大きな枠で考えるもの以外に、より身近な小さな枠の中にも存在すると感じています。
たとえば、中級者がスライスサーブを身につける過程を考えて見ましょう。
「守」・・・上級者やコーチの型(フォーム)を見よう見真似で、打ってみる段階。ボールはスライス回転しているが、コントロールはまだまだ定まらず、繰り返し練習している段階。
「破」・・・基本は継承したままで、自分なりに体の向きやトスの位置、グリップの握り方などを変えてみて工夫する段階。ときどきスライス回転しながらもスピードがでるようになったり、コントロールが定まりだす段階。
「離」・・・自分なりのフォームで、試合でかなりの高い確率で満足できるスライスサーブが入るようになる段階。さらにスピードアップや回転数アップ、狙うコースに磨きをかけていく段階。
いかがでしょう?
これはあくまで例ですが、こんなふうに細分化して考えてみると、より身近に「守・破・離」を感じる気がしませんか?
この「守・破・離」はテニス上達のひとつのプロセスを表す例ですが、こんなふうに自分が今取り組んでいる段階がはっきり見えれば、それだけでモチベーションもあがりますし、ゴールも設定しやすくなります。
さあ、あなたがこれから取り組むべき「守・破・離」は何でしょう?
ぜひ、考えてみてください。