ナダルがフォーカスしていたのは、ただひとつ。
「フェデラーのバックハンドを徹底的に狙うこと。」
フェデラーの弱点をひとつあげるとすれば、片手バックハンドの高い打点からのショットです。
「高い打点は相手にとって有利なんじゃないの?」と考えてしまいがちですが、実はそうとも限りません。
片手バックハンドを打っている人ならよくわかると思いますが、高い打点では力が入らず、ボールを抑えることができません。その結果、力強いボールが打ちづらかったり、コントロールしづらくなります。
ナダルは自分が得意とする強烈なトップスピンボールをフェデラーのバックへ集めることで、フェデラーに常に高い打点でバックハンドを打たせることを徹底的に実践していました。
何よりすごいなと感じたのは、それを「徹底」していたこと。
ストロークもバックハンドへ、サービスもバックハンドへとにかく徹底して狙っていました。おそらく最初の1セットは、サービスは100%バックハンドに打っていたように思います。
これに対するフェデラーの戦略は、ナダルに強烈なトップスピンを打たせないために、できるだけ「低い打点」へボールを集めることでした。(このあたりの駆け引きは本当に見ているだけでワクワクしますね!)
しかし結果的にはフェデラーはこれを徹底することができず、ミスを連発。ナダルの前に敗れてしまいました。(Unforced Errorはナダルが27個に対してフェデラーは52個)
とはいえ、スコアは、6-4,6-4,6-7,6-7,9-7。
合計ポイントはナダルが209、フェデラーが204とたった5ポイント差。
ここまで徹底しなければ勝てないフェデラーの強さは相変わらず信じられませんが、ナダルの「フォーカス」の勝利といってもよいのではないでしょうか?
これらの結果から、「フォーカス」することで次のようなメリットがあることを学びました。
1.集中して思い切ったプレーができる
2.自分の状態を評価し改善しやすい
3.次に進むべき道が自然と開ける
1.集中して思い切ったプレーができる
バックハンドを狙うという戦略にフォーカスすることで、それだけに精神を集中して、「どこに打とうかな・・・」とあれこれと迷うことなく、そこだけを狙って思い切ったプレーができるようになります。
無意識でプレーできる状態(ゾーン)に入りやすいこととも関係していると思われます。
2.自分の状態を評価し改善しやすい
あまり考えずにプレーをしていると、その日の自分の調子が良いのか悪いのかよくわからないと感じたり、どこが悪いかわからない、何を直せばいいのかわからないといった状態になります。
しかしナダルのようにバックハンドを狙うことだけにフォーカスしていれば、そのショットについての自分の状態をすぐに評価できます。
また、もし状態が悪ければ、そのショットについてだけ考え、修正すればよいので短時間で改善できます。それにより全体的な試合のパフォーマンスが向上します。
3.次に進むべき道が自然と開ける
バックハンドを狙われ続けたフェデラーは無意識のうちにバックハンドよりにポジションを少しずつずらしていました。ということはフォアハンド側が空きます。ナダルは試合中盤から後半にかけて決め球として、フォア側へ得意の逆クロスのショットを打っています。
つまり、バックハンド狙いにフォーカスすることで、自然と次の決め球や勝ちパターンが明確になってきます。
あまり考えずに多様なショットを展開すると、相手のどこが弱点なのか?どこが突破口なのか?わからないケースがありますが、ひとつのことにフォーカスすることで、次の突破口が見えてくるというわけです。
いかがでしょう?
私の個人的な解釈なので本人の意図とは異なるかもしれませんが、少なくとも私はナダルとフェデラーからこの3つのことを学びました。
そしてこれは、「日常生活や仕事でもまったく同じだな。。。」と妙に関心してしまいました。このあたりにスポーツから学ぶことの大切さがあるのかもしれませんね。
あなたのテニス上達を応援しています。