前回は、モチベーションを保つ秘訣①として、モチベーションを高めるときのスピードについてご紹介しました。
今回は二つ目の秘訣をご紹介しましょう。
先日いただいた質問に、
自分は試合で負けるととてもくやしくて練習を頑張ろうという気持ちになるけどすぐに冷めてしまいます。
モチベーションを保つにはどうすればいいですか?
とありましたが、実は根本的に改善しなければいけない点があります。それが二つ目の秘訣、「モチベーションの源泉」です。
モチベーションの源泉とは、あなたのモチベーションを高める原因です。
この方の場合、「試合に負けて悔しい」ということがモチベーションの源泉になっていますが、これが大きな落とし穴なのです。
試合に負けて悔しいから、頑張って練習をするということ自体は、一見、良いことのようですが、実は「試合の勝敗」という自分ではコントロールできない事象によって感情的に左右されていることが問題なのです。
特にテニスの場合、あなたがいかに良いプレーをしても、相手がそれを上回れば、あなたは負けます。逆にあなたがミスを連発しても、相手があなたを上回るミスをすれば、あなたは勝ちます。
つまり試合の勝敗はあくまで結果であり、あなたが完全にコントロールすることはできません。
モチベーションの維持という観点でみると、あなたが完全にコントロールできない事象に感情的に左右されてしまうというのは、非常に危険です。
そんなことでいちいちモチベーションがあがったり、さがったりしていては大変です。
逆に言えば、あなたが完全にコントロール事象にのみ集中し、そこにモチベーションの源泉を求めることがプロのアスリートです。
では、具体的にどうすればよいのでしょう?
答えは、「自分のプレイの完成度」に集中することです。
自分がいかに良いプレイ、納得できるプレイ、前回よりも良いプレイができたかに焦点を絞り、そこにモチベーションの源泉を求めるのです。
日本人には道を極めるという考えがあります。
私も華道を習っていますが、実は華道の世界にはゴールというものがありません。続ける人は、当たり前のように何十年も習い続けます。
あなたは、終わりが見えないことをやり続けることなんてできない!と思うかもしれません。
でも実はちがいます。
そこには目先の勝敗のように短期的な楽しさを求めるものとは違う次元の世界が広がっているのです。
これを実践して結果を出している代表選手が、イチローです。
イチローの目標は、毎年200本安打と思われていますが、実は違います。
彼は、目の前の1球1球を自分がイメージするとおりに打ち返すことだけに集中して、それを目標にしています。
彼の発言を聞いていると、ヒットが打てたから喜ぶのではなく、ヒットが打てても自分がイメージしているものと違うヒットであれば、まったく喜んだ表情を見せません。逆にアウトになっても、自分が納得できる打球であれば、満足しているのです。
勝ち負けにこだわって、勝つことに目標設定すると、勝つとモチベーションはなくなります。
負けると勝てない理由を探してモチベーションが下がります。
しかし自分のプレイの完成度に目標設定すると、あくなき挑戦が続くのです。つまりモチベーションが長く保たれるのです。
ゴールまでの道は長く見えませんが、そのプロセスを苦しみながらも楽しんで、自分を磨くことが本当のモチベーション維持の秘訣なのです。
いかがですか?
あなたの考え方が180度変わりましたか?
すぐに頭を切り替えるのは難しいかもしれませんが、まずは1つずつで結構ですから、自分のプレイに集中して試合をしてみましょう!